2023年の11月頃、「ソーシャル・ネットワーク」「スティーブ・ジョブス」「ザ・ホワイトハウス」などを手掛けたアーロン・ソーキンの脚本クラスを受講しました。
MasterClassというサービスを通して受講したのですが、このサービスは一度登録すると、一定期間内、授業が受け放題になります。
私は5つほどコースを受講したのですが、個人的には、ションダ・ライムズとアーロン・ソーキンのクラスが一番ためになりました。前回の記事で、ションダ・ライムズの授業について紹介したので、今回は、アーロン・ソーキンの授業中にメモしたことをシェアしていきます。
目次
アーロン・ソーキンの脚本術:書き方の指針
★「Intention」(意図)と「Obstacle」(障害)はドラマに必須
主人公が何を求め、また、何が障害となるのか……を考えることから始める
例えば……結婚式に行くためのロードトリップを主人公がしていて、数々の障害が邪魔する。観客に「がんばれ!」と思わせる
★主人公のIntention(意図)はシーン1で見せてもいい
★Conflict(対立、葛藤)が大切。充分にConflictを作る!
★アリストテレス「詩学」はおすすめ。ドラマとは何かがここに書かれている
(私はまだ読んでいません……)
★主人公は受動的であってはならない。Be Active!
★物語が進むにつれてStakes(危険度)をできるだけ上げていく
★最初の15ページと最後の15ページがもっとも大切
アーロン・ソーキンの脚本術:どうやって長編のアイデアを思いつく?
・気に入った短編を膨らませる
・新聞の記事を二つ選んで、つなげて物語を作ってみる
・古典を新しく書き換える
アーロン・ソーキンの脚本術:キャラクターの作り方
・「Intention」(意図)と「Obstacle」(障害)を決めると、キャラクターができあがる
・キャラクターの長い伝記・設定を書く必要はない
・あなた自身とは違ったキャラクターを書け
・あなたにとってのアンチ・ヒーローを考えてみる
アーロン・ソーキンの脚本術:観客についての考え方
・観客は作品を与えられるだけでは満足しない
観客は、参加したがっているのだから、すべてを語らず、観客が参加する余地を作る
・ただし、観客を混乱させてはならない
・脚本家が犯す最悪の罪は、観客が既に知っていることをもう一度語ること
アーロン・ソーキンの脚本術:書く習慣をつけるには
・書く栄養に必要なものをたらふく食べる……たくさんリサーチをしたり、人と会って話したりすることも大切
・まず、最初のシーンを書いてみる
・脚本を書くツールを使う。Final Draft(注:横書きのシナリオを書くソフトなので、日本での使用はあまり一般的ではない)やIndex Cardなど
・あなたが好きなことを、あなたらしい方法で書く
・書くことはバイオリンの練習と同じ。練習すればするほど上手くなる
・進歩にのみフォーカスする
「書けなくて悩んだことはあるか、ライターズブロックに直面したことがあるかって聞かれるたび、笑っちゃうんだよね。だってそれって僕にとってデフォルトの状態だから」Byアーロン・ソーキン
アーロン・ソーキンの脚本術:シーンを書くときに気をつけること
・一つひとつのシーンの意図を明確にする
・オープニングシーンでテーマを示す
・オープニングシーンで観客を掴む
・オープニングシーンで主人公を紹介する。語るのではなく、見せる
・シーンのなかで、意図・障害・葛藤……を示す
・あなた自身の視点で書く
・説明は必要なときにだけ書く
アーロン・ソーキンの脚本術:人の心を引きつけるセリフを書く方法
・リズムを大切に! リサイタルのように! セリフは音楽である
・現実にいる人の言葉をそのまま書くな
・書いている人物の役を演じろ。歩き回れ。シーンをやってみて!
・自分で演じて、効果的かどうか確かめる
アーロン・ソーキンの脚本術:初稿→リライトの流れ
・リライトするのは最後まで書いてから。まずは最後まで書いてみる。書ききったあとに気がつくことも多い
・書ききったあとで、「これは本筋に必要ない葛藤」だと思ったら消す
・あなたが大好きな箇所も思い切って削る
例えば、自分で気に入っているジョークでもそれがプロットに関係なければ削除。プロットばかりの脚本がいいわけではないが、削除したほうがいいことが多い
・誰の意見を聞くかに注意深くなる。脚本が読める人に聞く。医者ではない人に身体の相談をしても意味がない
・誰かの意見を聞くときは、「解決策」を聞くのではなく、「問題点」を聞く
アーロン・ソーキンから新人ライターへのアドバイス
・批評家や視聴者の声に惑わされすぎないで
・他人の作品を助けたり、書いたりするのはいいけれど、なぜライターになったか忘れないで。オリジナルを書いて!
・失敗することがとても大切。失敗から学べる
脚本スクールに通う異議は、「結果を気にせずに最悪のシナリオを書く機会を得たこと」。
・Write in Your Own Voice
自分自身の声で書く。ほかの人に似せようとしなくていい
他の人は何を観たがっている? テレビ局は何を求めている? と考えすぎると、活気のない作品になる。あなたがどれだけ他人を意識しても、全員を幸せにする物語を作ることはできない。
マクドのハンバーガーを作らないで!(すでにたくさん出回っているものを真似て作らないで、という意味かな?)
・たくさん映画を観て、脚本をたくさん読んで、たくさん書いて、そして、あなたをはげましてくれる人、脚本を読める人を見つけて!
・スティーブン・キングは毎日書いているけど、ほとんどの人は毎日書いてないから心配しないで
以上が、私がアーロン・ソーキンの脚本クラスを受講した際のメモの一部です。
MasterClassを通して、様々な脚本家のクラスを受講したのですが、書き方のコツにバラエティがあり、興味深く感じました。
アーロン・ソーキンのアドバイスも、前回紹介したションダ・ライムズと同じところと正反対のところがあって……たったひとつの正解はないのだなあ、と改めて思いました。
本日、この記事を書きながら、「あ、いま書いている脚本、このアドバイスを使ったらこうリライトできるな……」というアイデアがいくつか浮かんできました。
アーロン・ソーキンのアドバイスをもとに、いまからリライトしてみようと思います!
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